過保護な君の言うとおり
しかし、佐久間も思うところがあったのだろう。
私は人の気持ちを疑って、やましい考えがあるのでは無いかと勘ぐってしまう。
それを佐久間は知っているから、私に対して余計な気を使わせてしまっているのだ。
「それと引き換えに」なんて言葉はその証拠とも言える。
佐久間はつかつかと冷蔵庫に野菜を入れていくと、ふと手を止めて私を振り返った。
「あと……」
「なんだ?」
「僕と付き合ってくれ、とか無理に言わないから。……君のそばに居させてくれるだけでいい。それももし、嫌なら僕は……」
その先を言わせないように、からかう様な口調で言った。
「それも随分と欲張りだと思うけどなあ」
視界の端、袋の中に見覚えのあるパッケージを見つけた。
仕方ない、これで手を打つことにしよう。
「もし、私におかきを買ってきてくれたんなら。そばに居てやってもいいぞ?」
一瞬訳が分からないという顔でこちらを見たがやがて、なるほどそう来たか、
と佐久間は言った。
天邪鬼だなと思われたのかもしれない。否定はしないけれど。