過保護な君の言うとおり
目覚めた時は病院のベットだった。
ベット脇には私の叔母がパイプ椅子に腰掛け、眠っていた。
また心配をかけてしまった。
私は女性には珍しい気胸という、肺に穴が空いてしまう病気だ。
何度もこういう事態があった、多分また再発してしまったんだろう。
医者には何も言われていないが、自分のことは自分が一番よくわかっている。
「……ん、んん」
叔母の秋子さんがうんと伸びをして、目を覚ましている私に気がつくと
「ああっ! 目が覚めたのね!」と言った。
胸はまだ痛むかしら、息は大丈夫? と慌てて畳みかけられ、私は沢山心配をかけてしまったんだなとひしひしと感じた。
両親が死んで、孤独になってしまった私に唯一無条件で優しさをくれた人が秋子さんだった。
私は病気持ちだ。
私と暮らして良いことなんてひとつもないだろうに、彼女は嫌な顔ひとつせず優しくしてくれる。
いつも人を疑ってみたり悪態をつく私もこの人だけは、そういうことをしないで良いと思えた。
「もうほとんど大丈夫。意外と元気で自分でも驚いてる」
本当は胸が少し痛んだが、秋子さんに微笑んで見せる。
「いいえ、強がってもダメよ、まだ痛いはずだし。無理してるのバレバレなんだから。
まあでも一週間で退院できるみたいだから、安心したわ」
秋子さんは、抉れた傷口を見ているみたいに私に笑いかけ、布団をぐいっと引き寄せてかけてくれた。