過保護な君の言うとおり





 結論からいえば、佐久間は完璧だった。




非の打ち所がない。料理も洗濯も掃除も何もかもが丁寧で早かった。




 私は久しぶりにお風呂に浸かっていた。


最近はシャワーで済ましていたけれど、佐久間が体を温めた方がいいと言うので言われた通りに湯船に体を沈ませている。



「あ、そういえば部屋着持ってくるの忘れた」


部屋着をソファーに置いたままお風呂に入ってしまった。リビングには佐久間がいるし、大声で叫んだら持ってきてくれるだろうか。




「おーい! 佐久間あ、私の部屋着がソファーに置いてあるんだけど、脱衣所に持ってきてくれないかあ!」



 お風呂のドアを開け、できるだけ大きな声で言った。



遠くから「はーい」と佐久間の声がしたのでほっと胸をなでおろす。



危うく下着姿で佐久間の前にでる羽目になるところだった。



 しばらく湯船に浸かってそろそろシャンプーをしようと思ったら、すっかりシャンプーが切れていた。


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