過保護な君の言うとおり
佐久間はもう部屋着を置いてくれてるだろうと思い、脱衣所にある詰め替え用を取ろうとした。
私がドアを開け、身を乗り出し隙間から手を伸ばした時、
脱衣場の扉も同時に開いた。
部屋着を持った佐久間と目が合う。最悪のタイミングで鉢合わせた。
「あ………」
みるみる佐久間は顔を真っ赤にさせ私の部屋着をポロッと落とした。
しまった、見られた。呆然としている私。
佐久間はといえば、手で顔をおおって
「れ、玲ちゃんの……エッチーーー!」
と叫び、脱衣所の扉を手荒く閉めバタバタと足音が遠ざかっていった。
「それ、こっちのセリフだろ……」
静寂の訪れたお風呂場には私の呟きがこだました。
私が部屋着を持ってきてくれるように頼んだのは10分前とかだ。
もう、置いてくれているものだと思うだろう。
どこに置いてあるかは一目瞭然だから探すことは無いだろうし、一体何をしてたんだか。
「結局、私の部屋着……」
脱衣所を隔てた向こうの廊下に落ちているのだろうか。
佐久間の奴どうせなら、こっちに投げ入れてくれればよかったのに。