過保護な君の言うとおり
ちょっと待ってよ、僕が部屋着を持っていっても大丈夫なのか?
脱衣所に置くってことは扉の向こう側に玲ちゃんがいるってことだよね。
シルエットが写ってたり……。やっぱりダメだよ。
僕は部屋着を抱えて脱衣所の前をうろうろ、行ったり来たりする。
深呼吸をして、心を沈めるんだ。
無心で入って、そっと部屋着を置く、そして速やかに退散する。そうだ、それでいい。
心を決めて、扉を開けた。
しかし、僕はとんでもないタイミングで来てしまったのだ。
「あ…………」
やばい、見てしまった。
脱衣所へ手を伸ばして何かを取ろうとしている玲ちゃん。
幸いお風呂場の扉は少ししか開いてなかったから、はっきり見たわけじゃない。
けど、それでも。
見てしまった。
僕は慌てた。
なんだか僕の方が恥ずかしくて扉をピシャリと閉め、リビングへダッシュした。
なんて言ったかなんて覚えてない。
色々理性とかそういうのが危うく外れかけた。
玲ちゃんびっくりしてたな……。いつものアンニュイで眠たげな目がいっぱいに見開かれてまん丸になってた。
普段から男を、人を警戒しながら生きている玲ちゃんだ。
「僕、追い出されるかも……」という懸念が僕を苛んだ。