過保護な君の言うとおり
少しすると玲ちゃんが上がってきた。
やはり仏頂面で僕のことを目を細めて見てくる。怒ってるよ、絶対。
「ご、ごめんね玲ちゃん。その、覗くつもりは無くて……」
「当たり前だ。というか、私の部屋着を廊下に置き去りにしていっただろ」
はあ、とため息をついていたけれど、そこまで怒っている感じでは無かった。
あれ、もしかしてあまり男として意識されていないのか? と、少しがっかりしてしまった。
「ごめん、慌てて落としちゃったの忘れてた」
素直に謝ったけれど、僕の意識は風呂上がりの玲ちゃんに向いていた。
頬が赤く、火照っていてぐっとくるものがあった。
「いや、いい。部屋着を忘れていった私も悪いからな。そんなことより佐久間もお風呂に入ってきな」
玲ちゃんはあらゆる所にぶつかりながら寝室へと入って行った。
そして、眼鏡をかけてでてくる。
べっ甲の大きめの眼鏡だ。
いつもはコンタクトだったのか。道理でさっき目を細めていた訳だ。新たな発見に僕は嬉しくなった。
ちっちゃいことでと思われるかもしれないがその小さなことがとても嬉しかったりする。