過保護な君の言うとおり

朝焼けの時間








 私は佐久間がうちに来てからといもの、すっかり元気になった。




夜もよく眠れるし壁の向こう側に人がいる、そう思うと安心して眠ることができた。



 まだ朝日が昇る前の仄暗い時間。




朝早く目が覚めた私は喉を潤そうとリビングに行った。



そこには佐久間の姿がなく、「あれ?」と不安になってそこらじゅうを見渡すと、ベランダへ出る窓が少し開いていた。




 佐久間はそこにいた。



 私の家は、マンションの六階だ、そこからの景色は夜明けと日暮れの景色がとても素晴らしい。




澄んだ空気、人が目覚める前の時間帯は夢の中と区別がつかない空想の世界みたいだ。




朝露に濡れ草木が煌めき、空が藍色から朝焼け独特の黄丹色に染まっていく。



そんな景色が私は好きだ。



前日にどれだけ悲惨な目にあったとしても、この時間の、この空気だけは私を最悪な世界から別離してくれる。





 佐久間は夜明けの街を見下ろしていた。




彼はなにを思ってこの景色を眺めているのだろう。



「景色、いいだろ」


ベランダの縁に腕をついている佐久間の背中に声をかけ、私は隣に並ぶ。

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