過保護な君の言うとおり


昔から秋子さんには少しの誤魔化しもきかなかった。



私の全てを見透かしたような、それでも嫌な気はしない。まどろむような心地良さがあった。



「あ、そういえば病院までついて来てくれた男の子、また今度お見舞いに来てくれるらしいわよ」


秋子さんが言った。


「あ、あの子か」


「なあに、良い人そうじゃないの。

一緒に救急車に乗って私が来るまで玲ちゃんについていてくれたんだから。

あんな親切な人なかなかいないわよ?」



 ここまでついてきてたのか……。


珍しい体験に好奇心が勝ったのか、あの茶髪の男よろしく見返りのために助けた可能性だってある。



それとも病人を助けようとするただの善意か。



なんにせよ、私が無事この病院で息をしていられるのも、あの男のおかげと言えるだろう。



「今度お礼でもしておく」


「そうね。たしか玲ちゃんと同じ制服だったと思うんだけど、知り合い?」


クスクスと口元に手を当てて秋子さんは笑った。

いつも眩しいくらいにキラキラした笑顔の秋子さんを私もちょっとは見習うべきかもしれない。


「どうなのよ、玲ちゃん」


「いや、全然。あれが初対面」


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