過保護な君の言うとおり
「そう、良かったわ。心配だったとはいえ男の子と2人っていうのは、それはそれで心配だったのよ。
……その様子だと大丈夫そう?」
「うん。私には勿体ないくらい良い奴だ」
「良かった」
「秋子さんが帰ってくるのを楽しみに待ってるから」
「ええ。そう言ってくれる人がいるなんて、私は幸せものだわ」
海をわたり遠く離れているのに温もりが伝わってくるようだった。
秋子さんとの会話は、ひと言ひと言が真珠のような輝きを持って私の心に届いた。
電話を切ると、私たちは学校への支度に取り掛かった。
慌ただしくまた新しい一日が始まるのだ。
そして、私たちは小さな変化に翻弄され、それをのらりくらりとかわすか、真っ向勝負をするなりして過ごす。
秋子さんの出張が長引いていることは仕方がない。こういう事はのらりくらりとかわすのが懸命だろうなと思う。
しかし、私も理解しているつもりだけれど、少しの寂しさは、抗いようがなく伴ってしまうのだ。