過保護な君の言うとおり



 佐久間は私を見つめて、鉄砲でも食らったみたいに固まり。



次にはらはらと目から涙を流した。



さっきまで頬をふくらましていたのに、今は涙を流している。まるで壊れた機械のようだった。




 急なことで、私はいつかの佐久間のように慌てて



「な、なんで泣くんだ!?」とテーブルを回り込んで駆け寄った。



「よしよし、泣くな」と背中をさする。



すると余計に涙が溢れてくるらしく、


こいつの背中にはレバーがついていて、さすることで涙が溢れ出る仕組みになっているのかと思った。




「ご、ごめん。玲ちゃん」


「なんで泣くんだよお……びっくりするだろ」


出来る精一杯の優しい声で言う。




「僕もわかんないけど、なんか嬉しくて……」


グズグズになった鼻をすする。少し声は上擦っていた。



「ずっと心のどこかで玲ちゃんの迷惑になってるのかもしれないって……ここにいること自体が間違いかもって、ずっと思ってて」


「……ああ」


「だから、僕も少しは君の力になれてたと思うと安心したのかも」




「佐久間を迷惑だなんて思ったこと無いよ。

こんなにお節介で、迷惑だって思ってもいい所なのかもしれないけど、

ほんとに一度もないんだ」



 ソファーの脇に置いてあったティッシュを差し出すと佐久間は受け取り、目元をごしごしと擦った。


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