過保護な君の言うとおり




 あの男が見舞いに来たのはそれから二日経った、夕焼けが病室を赤く染めはじめた頃だった。



病室の扉が少し空いた。



ほんの数センチの隙間から

「入って良いかな?」と遠慮がちに顔を覗かせた。



学校終わりにここに寄ったのだろう、スクールバッグを肩からかけ、


うちの学校では珍しい、ちゃんと正しく着こなされた制服姿だった。



「どーぞ」


「えっと、お邪魔します」



 鞄を前に抱き、恐る恐るといった感じで私のベッドのそばまで来る。



キョロキョロと落ち着かないみたいだ。



「とりあえず座ったら? そこ椅子あるから」


私は手を伸ばして折り畳みのパイプ椅子を引きずりだそうとした。


上手く引き寄せられないでいると男は少し笑って私を制した。


「ああ、大丈夫、僕がやるから。ありがとう」


パイプ椅子を広げて座ったらやっと余裕ができたらしく、男は気を取り直してコホンと咳払いをした。


「えっと、体調どう?」


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