過保護な君の言うとおり
私は洸の手を払い除ける。
佐久間がきたことによって、私はひどくほっとしていた。
人差し指を口元に近づけて、しぃーっと合図する。
「佐久間、声がでかいんだよ。図書委員がそんなんでどうするんだよ」
「ごめんごめん」
佐久間は頭に手をやって、照れ臭そうにする。
「……ていうか玲ちゃん大丈夫? 顔色よくないけど、何かあった?」
佐久間は、チラッと洸の方を見て言った。
「なんだ、心配してるのか?」
私は思わずクスッと笑ってしまう。
佐久間はよく見ている、こいつがそばにいるだけで少し心が温まるのを感じるのだ。
「そりゃ心配に決まってるよ。……あ、そうだ。もし良ければ明日の定期検査、僕も一緒に行こうか?」
「お前は心配性だなあ、佐久間。
子供じゃあるまいし大丈夫……
って言いたいところだけど。待ち時間すっごく暇だからついてきて話し相手になってよ」
「あ、でも僕にゲーム機いっぱい持たせるのはやめてよ。せめてふたつだけね?」
定期検査での順番待ちは気が遠くなるくらい長いので、
この前は佐久間にゲーム機やカードゲームその他もろもろが入ったカバンを持ってもらったのだけれも、それが相当重かったらしいのだ。
言っておくが私は自分で持っていくと言ったのに、佐久間が世話を焼いただけだ。
「仕方がないなあ」と私は何を持っていこうか、まるでピクニックの前日のような気分で考えていた。
その時、突然洸が笑い出した。
私も小池も、佐久間もびっくりしてそちらを見た。ピクニック気分が台無しだ。
「そっかそっか、驚いたな。こっちが本命か」
洸は笑っているのに憎しみに満ちた表情で言った。
「なあ、玲……いつからそんな顔をするようになったんだ」
「なんの話だ」
私は気づかないうちに眉をしかめていた。
「いつからそんな甘えた顔ができるようになったんだって。
玲は俺に一度もそんな風にした事なかっただろ。俺とそいつではなにが違う?」