過保護な君の言うとおり


「まあまあだな。あの時はついに死んだかと思った」


「僕も焦ったよ。

一緒にいた男の人と喧嘩して『馬鹿野郎』って言い返していた君が目の前で倒れちゃうんだから」



男は笑うと目尻が下がり、もともと無害そうだった顔がさらに心を許してしまいそうな無防備な顔になった。



こいつも秋子さんもなんでそんな顔ができるのか私には全くわからなかった。



もしかして、食べてるものが違うのだろうか。




 男は不思議そうに首をかしげる。




「なに? 僕の顔に何かついてる?」


「いや、なんでもない。ちょっとぼーっとしてただけだ」



 私は、ふいっと視線を窓の外にやる。


人の顔をじっくり見たことなんて今まであっただろうか。


男は色素が薄く制服姿でなかったら大人びて見えることもあるし、逆に幼くも見える。



眠たそうな二重が伸びた前髪から覗く。骨格が繊細で細く、美少年のようだった。


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