過保護な君の言うとおり
そして玲ちゃんとの接点を失った今、考えてしまうのは
「なぜ彼女に執着してしまうのだろうか」という問題だった。
たとえば、委員会が同じ峰さんとは意外と話が合うこともあって、話すことも多々あった。
好きな作家が同じだったり、近所の行きつけの本屋があること。
共通点がいくつもあり、何より清楚な雰囲気の峰さんは女の子らしかった。
どちらかといえば、今までの僕のタイプはこういう清楚な感じだったと思う。
それに比べて玲ちゃんは口は悪いし、極めて天邪鬼で、個性というものに覆われているような子だ。
でも、なぜか気づけば目で追っているし、視界に入ると魅入ってしまったりする。
関わっていくうちに、玲ちゃんがどういう人かわかってくる。
彼女は自分を無条件で受け入れてくれる人がいれば、その人がすること全てに対して甘受してしまう。
恐らく、僕やその他の男が玲ちゃんに魅入られる理由は、本能的にこういう承認欲求を満たしてくれるところにあるのかもしれないと思った。
まったく、彼女は天然の人たらしである。困ったものだ。
僕はこれからどうしようかと昼休みの時間を悶々と過ごした。
「ぼーっとしてたってなんも変わんないぞ」
お弁当だけでは足らず、焼きそばパンを買って戻ってきた神田が僕の肩をこずく。