君のこと、欲しくない


…え。
この声はクラスのムードメーカーの女の子の声だ…仲は悪くないし前席が近かったからたまに話してた子でもある。


悪い子とかじゃないけど、なんでそんなこというの…!なになに、なんで?わたしなんか悪いことでもしちゃったの?

その言葉のせいでみんな見てるし…

ももはちゃんはどう思うんだろ、さっきいいやってなったばっかなのに。


「え〜、じゃあやろっかなぁ。メイド服って一生のうちに着れるかわかんないし着てみたいから接客するね」

……っ、え?


なにを言ってるの、ももはちゃん。
君はさっきまで否定してたじゃん…さっきの間に考えが変わっちゃったの?


「妃夏ちゃんはやってくれる?」

学級委員の子が困ったようにわたしに聞く。もちろん断るつもり、だってももはちゃんのようにポジティブに考えられないもん。


「…あ、わたしは」

「妃夏ちゃんもするよ〜、2人まとめて書いといてね〜!」


……はい?ももはさん?


「私、妃夏とメイドやりたくて…恥ずかしいけど文化祭一緒に楽しみたいから…」


こそっとわたしに話すももはちゃん。
申し訳ないと思ってるのか悲しそうな顔をして話してる。

わたしはももはちゃんがだいすきだし、そんなふうに思ってくれてたのなら全然許そうと思った。別に怒ってた訳じゃないけどね。


「じゃあ、放課後なんか奢ってね」


つい、頼んでしまった。まあこれでチャラにしよう。

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