君のこと、欲しくない

泉 side



泉 side



女関係がだらしないことは自分でもすごくよく分かっていた。


中学生の時、初めて女に誘われたことは今でも覚えてる。

その女の顔とか体とかは全く覚えてないが、自分が狂い出した瞬間は思い浮かべればはっきり思い出すことができた。


彼女は今までいたことはなかった。


学校では爽やかな王子様、というような女が好きそうな男を演じていたから。

本性を出すのは女が誘ってきた時だけ。


愛情は全く湧かなかった、もちろん好きという感情も。



でもそれなりに上手くやっていた、男友達もそれなりにいたし。



____ だから本当にびっくりした、あの仁宮 妃夏が見ていたなんて。


クラスメイトには正直バレたくなかった。

だってこれから1年間嫌でも過ごす空間、問題はあまり起こしたくなかった。


少しでもよく見られたかった、男にも女にも。

けれどそれはたった一度の高校生活を過ごすためであってそれ以外はない。

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