君のこと、欲しくない
わたしにはどうすればいいのかわからなかったけど、こっちにもするべきことがあって。
「失礼します…」
一言言って入る、声とか掛けた方がよかったのかな、でも
「…っ!あんたも陶山くん目当て?」
と言われる方が早かった。
なんでだろう、わたし陶山泉くんと話したこと殆どないのに。さっきのやりとりでそんなこと思うのだろうか。
「っ違います!あの、わたしは空き教室に用事があって…」
必死に弁解、そうじゃなきゃこの先輩は納得しないだろう。今にでも殺されそうな目付きだったから。
「ほんとに?どうせそんなこと言って陶山くんのこと狙ってるんでしょうけど。言っとくけど陶山くんは誰のものでもないからね」
きつい口調だったけど、さっきの出来事からか自分に言い聞かせている感じもした。
「あの、本当にわたしはっ!」
「もういいから、やめて」
そう言って出ていってしまう先輩。
今のやりとりで不思議だった、陶山泉くんとこの先輩は付き合っているのだと思ってたのに先輩はそんなこと一言も言わない。
どういうことなのだろう。