君のこと、欲しくない


翌日の朝。


「っ、やば…」

めちゃくちゃやばい、遅刻しそう。


わたし、今まで1回も遅刻したことないのに。どちらかというと早く来て友達を待ってるタイプの人間なのに。


決めつけるのは良くないけど、ぜったい陶山くんのせい。絶対。


「…お母さん、夜勤だったのかな」

お母さんは看護師でたまーに夜勤が入る。

たぶん、お母さんならわたしのこと起こしてくれたことに違いない、たぶん。


朝に弱いからなかなか目が覚めない、やばいのに。


実をいうと弟もいるんだけど部活の朝練で早く行っているせいでわたしのことなんて頭にない。


「…はぁ」

ため息ひとつして起きあがる。

今8時過ぎ、30分までに学校に着いてなきゃいけない。

でも家から学校まで20分弱かかるからどうせ遅刻だろうけど朝ごはんを食べずに出るつもり。


そうしないと間に合わない。
すぐに着替えて学校に向かう。

「いってきます」

誰ひとり聞いているわけではないが、癖でつい言ってしまう。



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