君のこと、欲しくない
走っていけばもしかしたら間に合う、はず。
わたしの学校は学校の校門を入ればいいわけじゃなくて教室に座っていたらなんだけど、2年生の教室はちょっと遠いからこういう時本当に辛い…。
「…はぁ、は…ぁっ!」
やっと着いて階段を登りきったっていうのに、なんで。
「…っ、す、陶山くん?」
昨日の彼が目の前に現れる。
わたしは遅刻だろうから早く教室に入りたいのに。
「妃夏ちゃん、だったっけ?遅刻だよ」
もう忘れたのか、この人は。
あとわざわざそんなこと言われなくてもわかってるのにっ…!
「…まぁ、俺もなんだけど」
この人はたまに遅刻している。常習犯とかじゃないけど月1、2回くらい。
っていってもまだ進級して2ヶ月ちょっと、よくわかってないのが事実なんだけどね。
「実はさ妃夏ちゃんのこと待ってた、あんまり妃夏ちゃんと話したくないけどさ。昨日のこと人に言わないでね、クラスの中ではちゃんとしたいって思ってるから」
一言余計、なんだけど、全然話してないのにもう性格を掴んでしまったのか言い返す気にはなれないけど。
「…言われなくてもっ、言わない」