北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅱ 『溺愛プロポーズ』
 ソファにふたり並んだまま温まりたいと話し合って、大きな長方形のコタツに買い替えた。こんなふうに寝るためじゃない。
 もう朝だし起こしちゃえ。
 累の肩をゆすろうとして、ふと周りを見る。
 つるにこの姿がない。
 でも油断はできない。
 このあいだ無造作にコタツに足を入れたら、中で寝ていたつるにこをどついてしまい、噛みつかれた。
 コタツ布団をめくって覗きこんでみると、案の定、つるにこは累の右腕と右脇腹のあいだに、すっぽり挟まっていた。
 いつものこととはいえ、積み重なる嫉妬が小爆発する。
 わたしなんてぜんぜんいっしょに寝れてないのに!
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