北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅱ 『溺愛プロポーズ』
 レストランの評価サイトだった。
 最新投稿のタイトルは、“クリスマスにおねだり決定!”。夜景とおいしい料理が自慢のその店は、特別な日の演出も請け負うと謳っていた。
 累はもちろん凛乃も、お洒落レストランにそれほど興味はない。人混みや騒がしいのが苦手な累に、クリスマスディナーなんてねだった覚えもない。
 ブラウザバックを何度かしてみる。
 たどり着いた検索窓に入っていたのは、“プロポーズ”“レストラン”“夜景”の3語だった。
 胸に、ぽわっと灯がともる。
 超高温が、さっきまでのもやもやした気持ちを一掃する。
 凛乃は高まる期待ごとノートパソコンをそっと閉じて、秘かな計画を見なかったことにした。
 わたし、待ってればいいんだね。
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