北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅱ 『溺愛プロポーズ』
「じゃなくて、半分ずつ出し合って凛乃とおれ、ふたりからってことにしてくれない?」
 凛乃は累の困ったような横顔を見上げた。
 対外的にふたり一組を表明することに、じんとする。それがたとえ、累が不慣れな社交イベントに怖じ気づいたせいだとしても。
 凛乃は横向きに寝返りを打って、累の胸に身を寄せた。
「累さんがそれでいいなら」
「うん」
 累は口を覆って小さなあくびをした。
「まだ眠い?」
「寝たはずなんだけど」
「コタツで寝るから深く寝れなかったんでしょ。部屋に行って寝たら?」
「でも朝だし。凛乃は休みだし」
 起きる、と意思表示しながらなかなか動き出さない累に苦笑する。
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