北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅱ 『溺愛プロポーズ』
コタツをずるずると脚のほうに押しやると、つるにこは累と凛乃のあいだまでやってきた。ぶるりと頭を振り、いぶかしげに累と凛乃を見る。
凛乃は隠れるように、累の胸に、ぎゅっとしがみついた。
「つるにこ。いまは凛乃との時間だから」
「え?」
予想外の累の言葉に顔を上げると、つるにこは凛乃に向かってぐいーんと伸びをした。
鋭い爪が、意味ありげに剥き出しになる。
でもつるにこはそのままトコトコとキッチンのほうへ歩いて行った。
「言うこときいた」
信じられない思いで見送ると、累がふうっと息を吐いた。
「ゆうべ、凛乃に触れてなくて頭おかしくなるって言ったからかな」
細く開けられたガラス戸の隙間からキッチンに入ったつるにこは、どこへ行ったのか、すぐに姿は見えなくなった。気配も感じられない。
凛乃は隠れるように、累の胸に、ぎゅっとしがみついた。
「つるにこ。いまは凛乃との時間だから」
「え?」
予想外の累の言葉に顔を上げると、つるにこは凛乃に向かってぐいーんと伸びをした。
鋭い爪が、意味ありげに剥き出しになる。
でもつるにこはそのままトコトコとキッチンのほうへ歩いて行った。
「言うこときいた」
信じられない思いで見送ると、累がふうっと息を吐いた。
「ゆうべ、凛乃に触れてなくて頭おかしくなるって言ったからかな」
細く開けられたガラス戸の隙間からキッチンに入ったつるにこは、どこへ行ったのか、すぐに姿は見えなくなった。気配も感じられない。