北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅱ 『溺愛プロポーズ』
-Heater After Christmas-
「メリークリスマース!」
フランスではやっと陽が落ちたくらいの時間だというのに、モニター画面に映る父の顔は、すでにアルコールで赤みを帯びていた。
「はいはい」
おざなりな返事をしておく。
いっしょに仕事をしなくなってから頻度は減ったものの、折々に連絡は取っている。特段、語ることもない。
それに今夜は、この陽気さにつきあいきれない気分だった。
笑顔の圧から距離を取って、累はイスをぎしりと軋ませた。
いくつかの近況報告を交わすと、言造が眉根を寄せた。
「元気ないな。なんかあったのか」
思わず、ぐっと息を飲んだ。
フランスではやっと陽が落ちたくらいの時間だというのに、モニター画面に映る父の顔は、すでにアルコールで赤みを帯びていた。
「はいはい」
おざなりな返事をしておく。
いっしょに仕事をしなくなってから頻度は減ったものの、折々に連絡は取っている。特段、語ることもない。
それに今夜は、この陽気さにつきあいきれない気分だった。
笑顔の圧から距離を取って、累はイスをぎしりと軋ませた。
いくつかの近況報告を交わすと、言造が眉根を寄せた。
「元気ないな。なんかあったのか」
思わず、ぐっと息を飲んだ。