北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅱ 『溺愛プロポーズ』
いつもなら自力で最寄り駅までローカル線で帰るのに、今回はめずらしく特急が停まるターミナル駅まで迎えにいくと言われた。
それほどまでに食べたかったケーキなら、つきあうけどさ。
ウェイターに「こちらです」と店の奥のソファ席を促されて、「え」凛乃は小さく声をあげた。
空いているシートの向かいに、すでに自分と同年代の青年と年配女性が座っている。
相席ってこと?!
凛乃がウェイターに問いただすまえに、母親がよそゆきの愛想のいい笑みと声を披露する。
「どうもお待たせして。こちら失礼しますね」
「こんにちは維盛さん」
「ほら凛乃座って」
腕をひっぱられて、呆然とするままに横に座らされる。
母親はすかさずウェイターにコーヒーをふたつ頼み、向かいのふたりを紹介した。
それほどまでに食べたかったケーキなら、つきあうけどさ。
ウェイターに「こちらです」と店の奥のソファ席を促されて、「え」凛乃は小さく声をあげた。
空いているシートの向かいに、すでに自分と同年代の青年と年配女性が座っている。
相席ってこと?!
凛乃がウェイターに問いただすまえに、母親がよそゆきの愛想のいい笑みと声を披露する。
「どうもお待たせして。こちら失礼しますね」
「こんにちは維盛さん」
「ほら凛乃座って」
腕をひっぱられて、呆然とするままに横に座らされる。
母親はすかさずウェイターにコーヒーをふたつ頼み、向かいのふたりを紹介した。