北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅱ 『溺愛プロポーズ』
自分もいっしょに泊まるから通訳すると告げた累は、バックパッカーに握手を求められていた。
「でも、つるにこ、だいじょうぶ?」
凛乃は背後からこっそり訊いてみる。
「一応、ごはんは多めに置いてきたし、サスケに家のカギ預けてきたから見に行ってもらうことにした」
「そっか。瀬戸さんに」
うなずく語尾が少し詰まった。
いつもは素っ気なくしている佐佑を巻きこみ教えを乞い、つるにこ最優先のところを曲げてまで母親の翻意に賭けてくれた累を思うと、胸が締めつけられる。
他人の目が無かったら、思いのたけを込めて抱きついていた。
「じゃあわたしもう家に帰っていいよね」
「あ」
いままで傍観者に徹していた姉の声に、凛乃はハッとふりかえった。
姉は満足げに微笑んでいる。累の勝利を確信しているらしい。
「でも、つるにこ、だいじょうぶ?」
凛乃は背後からこっそり訊いてみる。
「一応、ごはんは多めに置いてきたし、サスケに家のカギ預けてきたから見に行ってもらうことにした」
「そっか。瀬戸さんに」
うなずく語尾が少し詰まった。
いつもは素っ気なくしている佐佑を巻きこみ教えを乞い、つるにこ最優先のところを曲げてまで母親の翻意に賭けてくれた累を思うと、胸が締めつけられる。
他人の目が無かったら、思いのたけを込めて抱きついていた。
「じゃあわたしもう家に帰っていいよね」
「あ」
いままで傍観者に徹していた姉の声に、凛乃はハッとふりかえった。
姉は満足げに微笑んでいる。累の勝利を確信しているらしい。