北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅱ 『溺愛プロポーズ』
「ああ。たしかに雰囲気変わったよね。ブラッシュアップしたっていうか」
「でしょ~」
自分の手柄のように鼻を高くする中森嬢に、累はぎゅっと眉根を寄せた。
「ちがいます」
湯呑を静かに茶托に戻す。
「か……妻に選んでもらいました」
カノジョ、と言いかけたのを、かろうじて言い直した。
「え、結婚されたんですか?! それはおめでとうございます」
老編集者がすぐに祝意を示した。
「ありがとうございます」
「先月お電話したときも、ぜんぜんそんな話されてなかったからビックリしましたよ。いつですか? 式ももう?」
「でしょ~」
自分の手柄のように鼻を高くする中森嬢に、累はぎゅっと眉根を寄せた。
「ちがいます」
湯呑を静かに茶托に戻す。
「か……妻に選んでもらいました」
カノジョ、と言いかけたのを、かろうじて言い直した。
「え、結婚されたんですか?! それはおめでとうございます」
老編集者がすぐに祝意を示した。
「ありがとうございます」
「先月お電話したときも、ぜんぜんそんな話されてなかったからビックリしましたよ。いつですか? 式ももう?」