北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅱ 『溺愛プロポーズ』
「おれの気が済む。それにいずれ要ると思うし。佐佑が買ってよかったって言ってた」
「置くところどうするの?」
「庭」
「カーポート置けるかなあ。濡れ縁が陰に入っちゃわないかな」
「それなら野ざらしでもいい」
「地面だけコンクリで固めるとして、塀も少し壊さなくちゃだよ」
「いいよ。変えたほうが過ごしやすいなら、どんどん変えればいい。凛乃はおなか大きくなって困ったことがあれば、すぐに言って。家に居るときは、ずっと座ってて。買い物とかもおれが行く」
「キツくなったらね。まだそんな感じ、ぜんぜんしないんだから」
 凛乃は累の背中をぽんぽんとやさしく叩いた。
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