北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅱ 『溺愛プロポーズ』
「海に年イチでも足を漬けておくと、冬にシモヤケにならないらしいよ」
「ほんとに効くの、それ」
「知らない。ばあちゃんが言ってた」
「それって出不精な孫を海に誘う口実だったんじゃないの?」
「行きたくなかった記憶はないんだけど。ほぼ毎年、佐佑ん家と海水浴に行ってたし」
凛乃がクラッカーの小袋を開けて、彪吾に差し出した。
「累さんこそ、しっかり泳ぎたかったら行ってきたら? 彪吾はわたしがみてるよ」
「べつにいい。凛乃のビキニが見れるなら行くけど」
「海デートもプールデートもしなかったのはたしかに心残りですがぁ、無理だからぁぁ」
大げさにおなかを隠す凛乃に、彪吾がクラッカーを差し出す。累も便乗して「くださいな」手を出してみると、1枚だけ載せてくれた。
「ほんとに効くの、それ」
「知らない。ばあちゃんが言ってた」
「それって出不精な孫を海に誘う口実だったんじゃないの?」
「行きたくなかった記憶はないんだけど。ほぼ毎年、佐佑ん家と海水浴に行ってたし」
凛乃がクラッカーの小袋を開けて、彪吾に差し出した。
「累さんこそ、しっかり泳ぎたかったら行ってきたら? 彪吾はわたしがみてるよ」
「べつにいい。凛乃のビキニが見れるなら行くけど」
「海デートもプールデートもしなかったのはたしかに心残りですがぁ、無理だからぁぁ」
大げさにおなかを隠す凛乃に、彪吾がクラッカーを差し出す。累も便乗して「くださいな」手を出してみると、1枚だけ載せてくれた。