北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅱ 『溺愛プロポーズ』
凛乃は手早く食器を引き上げると、累に背を向けてまたなにかを作り始めた。
「なんか手伝えることない?」
ダメもとで声をかける。
「そっちで待っててください」
凛乃はふりむきもしない。
近づくのはあきらめて、累は甘えてくるつるにこのために、ラジコンのネズミを取り出した。
つかまえられそうで、つかまえられない、絶妙なちょっかいをかけてやると、つるにこは夢中になってネズミを追いかけ続ける。
コントローラを両手でいじりながら、累は漂ってきたチョコレートの香りを吸い込んだ。
ふと、的中させた気になっている予想がまちがっているかもしれない疑念が湧いて、累はもうひとつの可能性を口に上せた。
「昨日の面接、返事あった?」
「まだですね」
凛乃はさして苦でもなさそうに答えた。
「なんか手伝えることない?」
ダメもとで声をかける。
「そっちで待っててください」
凛乃はふりむきもしない。
近づくのはあきらめて、累は甘えてくるつるにこのために、ラジコンのネズミを取り出した。
つかまえられそうで、つかまえられない、絶妙なちょっかいをかけてやると、つるにこは夢中になってネズミを追いかけ続ける。
コントローラを両手でいじりながら、累は漂ってきたチョコレートの香りを吸い込んだ。
ふと、的中させた気になっている予想がまちがっているかもしれない疑念が湧いて、累はもうひとつの可能性を口に上せた。
「昨日の面接、返事あった?」
「まだですね」
凛乃はさして苦でもなさそうに答えた。