北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅱ 『溺愛プロポーズ』
「凛乃が家政婦でいるうちは、こういうことはダメ?」
「……仕事中は」
「いまは仕事中?」
「ちがう、かな」
迷いか羞恥か、ささやき声で返ってくる。
凛乃が“仕事”を始めてしまわないうちに、累はその口唇に封をした。凛乃の身体から余分な力が抜けていく。
「トランクルームに置いてる物、ぜんぶ持ってくれば? ぜんぶ入るかわからないけど」
凛乃を腕の中にしまいこんで、やっと安堵の気持ちが降りてくる。
「たぶん、入ります。まえに住んでた部屋は6畳だし、トランクルームのサイズは2畳なんです。それくらい減らしたので。でも電車で持ち運べる大きさじゃないのもあるし、さすがにだいぶこの部屋を占領しそう」
「それでいいよ。今日からここは凛乃の部屋だから。そのタンスとかも、処分すればもっと広く使える」
累が見たものを見て、凛乃は首を横にふった。
「……仕事中は」
「いまは仕事中?」
「ちがう、かな」
迷いか羞恥か、ささやき声で返ってくる。
凛乃が“仕事”を始めてしまわないうちに、累はその口唇に封をした。凛乃の身体から余分な力が抜けていく。
「トランクルームに置いてる物、ぜんぶ持ってくれば? ぜんぶ入るかわからないけど」
凛乃を腕の中にしまいこんで、やっと安堵の気持ちが降りてくる。
「たぶん、入ります。まえに住んでた部屋は6畳だし、トランクルームのサイズは2畳なんです。それくらい減らしたので。でも電車で持ち運べる大きさじゃないのもあるし、さすがにだいぶこの部屋を占領しそう」
「それでいいよ。今日からここは凛乃の部屋だから。そのタンスとかも、処分すればもっと広く使える」
累が見たものを見て、凛乃は首を横にふった。