北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅱ 『溺愛プロポーズ』
 その隙間を縫って、累の左手と口唇がマシュマロの弾力を味わいつくすあいだ、右手はもうひとつの山あいの谷へすべりおちて、水音を立てる。
 それぞれの快感が身体の中でつながり、増幅して、凛乃の声も動きも高まってゆく。
「あ、また……!」
 腰を揺らして、凛乃は累にしがみついた。
 固くなったところを食みながら、累は手首まで濡れた右手をぬるりと引いた。凛乃が漏らす吐息を浴びつつ、指の節を押しつけるようにして入口を開く。
「腰、落として」
 くったりと累に身体をあずけながら、ささやかれるままに凛乃は腰を沈める。
 きつく、それでいて吸い込まれるように累がナカに入った。
「うっ」
 累と凛乃の声が重なった。
 おたがいにぴたりと寄り添いながら、口唇を求めあう。
「……いい?」
「……うん」
 下から突き上げる振動に全身を揺るがされ、凛乃は必死に累にしがみついた。
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