北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅱ 『溺愛プロポーズ』
それでもいなくなってしまったのは、きらわれていたからだ、とは言わない。
ただ。そう。
つるこは、あの家に“間借り”していただけ。
累は口唇を「あ」の形に開いた。
そういえば凛乃は、今夜も三毛猫色だ。
くすんだレンガ色と白の重ね着風Tシャツに黒髪。
凛乃もまだ、あの家に“間借り”している。
累は点滅する赤信号で静かに停まると、こちらに身体をかたむけて眠る凛乃のおでこに、キスを押しあてた。
ただ。そう。
つるこは、あの家に“間借り”していただけ。
累は口唇を「あ」の形に開いた。
そういえば凛乃は、今夜も三毛猫色だ。
くすんだレンガ色と白の重ね着風Tシャツに黒髪。
凛乃もまだ、あの家に“間借り”している。
累は点滅する赤信号で静かに停まると、こちらに身体をかたむけて眠る凛乃のおでこに、キスを押しあてた。