北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅱ 『溺愛プロポーズ』
凛乃はキッチンに行ってヤカンから冷めたお茶をマグカップに注ぎ、一息ついた。
「ふう。あったかい」
今日は11月とは思えないほど気温が高い。サロンからの帰り、てくてく歩いているうちに暑くなって、コートを脱いだくらいだった。
午前中にたっぷり差し込んだ日差しの効果も加わって、縁側からキッチンまで、昼下がりになってもまだ春のようだ。
凛乃は腰に手を当てて、絵画のように静止しているリビングに佇んだ。
累が洗ってくれた皿やお椀は、もう乾いていた。縁側には洗濯物がかかっている。夕飯の準備には早い。午後から出かける約束も特にしていなかった。
じゃあ、この隙に。
凛乃はおもむろに回転座椅子にしなだれかかって、つるにこの背中をそおっと撫でてみた。
いやがって逃げたりはしない。むしろ、撫でるがいい、という風情だ。
「ふう。あったかい」
今日は11月とは思えないほど気温が高い。サロンからの帰り、てくてく歩いているうちに暑くなって、コートを脱いだくらいだった。
午前中にたっぷり差し込んだ日差しの効果も加わって、縁側からキッチンまで、昼下がりになってもまだ春のようだ。
凛乃は腰に手を当てて、絵画のように静止しているリビングに佇んだ。
累が洗ってくれた皿やお椀は、もう乾いていた。縁側には洗濯物がかかっている。夕飯の準備には早い。午後から出かける約束も特にしていなかった。
じゃあ、この隙に。
凛乃はおもむろに回転座椅子にしなだれかかって、つるにこの背中をそおっと撫でてみた。
いやがって逃げたりはしない。むしろ、撫でるがいい、という風情だ。