北向き納戸 間借り猫の亡霊 Ⅱ 『溺愛プロポーズ』
たっぷり栄養を取っている若々しい毛並みはつややかで、上質なベルベットに似ている。おまけにあたたかくて、丸みがあって、生きている。
「居てもいいの?」
「あと少しで終わるから」
累がスマートフォンを眺めながら脚の上のつるにこを撫でているとき隣に座ったら、画面から目を離さないまま、その手が凛乃の肩にまわった。
髪の先をつまんだり、耳、ときにはあごの下をさする累の指は、凛乃をつるにことおなじに扱っていた。
累さんにとって猫ってきっと、素直に愛情を表現できる相手なんだろうな。
気にかけてくれる家族や友達がいて、大切にされた記憶もある。それでも距離を保ちたがるのは生来の性格だとしても、ふれあいはなくていいと思っているわけではなさそうだ。
あったかいのは心地いい。
触られるほうの心地よさもわかる。
だからこそ、
「居てもいいの?」
「あと少しで終わるから」
累がスマートフォンを眺めながら脚の上のつるにこを撫でているとき隣に座ったら、画面から目を離さないまま、その手が凛乃の肩にまわった。
髪の先をつまんだり、耳、ときにはあごの下をさする累の指は、凛乃をつるにことおなじに扱っていた。
累さんにとって猫ってきっと、素直に愛情を表現できる相手なんだろうな。
気にかけてくれる家族や友達がいて、大切にされた記憶もある。それでも距離を保ちたがるのは生来の性格だとしても、ふれあいはなくていいと思っているわけではなさそうだ。
あったかいのは心地いい。
触られるほうの心地よさもわかる。
だからこそ、