独占欲に目覚めた御曹司は年下彼女に溢れる執愛を注ぎ込む
「じゃあ葵。支度してくるね」

「はい、待ってますね」

今日は日曜日。遅めの朝食を済ませると、須和は席を立った。
彼が完全にオフということで、二人はデートに行く予定だ。

(私もそろそろ身支度しないと……!)

須和が仕事が忙しいのと、利光の手術が被り、
付き合ってからというもの、一度もデートというデートをしていない。
この日を心待ちにしていた葵は、起きてからずっとドキドキしていた。

葵は急いで化粧を直し、巻いていた髪をパールのバレッタで結い上げる。
ちなみにこの日のデートのために、洋服もアクセサリーも用意した。

「……葵、綺麗だね。なんか最近雰囲気が変わった気がするな」

用意が出てきた須和は、そんな葵をジッと見つめる。

「そうですか……? 自分じゃ分からないですけど」

須和と一緒にいるようになって、もっと可愛く見られたいと思うようになったのは事実だ。
今まで家族第一、仕事優先でやって来た葵にとって、初めての心の変化だった。

「他の男に葵を見せたくないんだけど。今日は街に行くのやめる?」

「えっ、それはイヤです!」

必死に抗議する葵に須和はクスクスと面白おかしく笑っている。

「嘘だよ。今日は葵のやりたいこと全部するんだもんね」

「はい」

恥ずかしくなって頬を赤らめる葵の頭を、須和は優しく撫でた。
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