独占欲に目覚めた御曹司は年下彼女に溢れる執愛を注ぎ込む
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「一体どういうことなんだ、これは……説明しろ、柾」

いつもは温厚を装う義則だったが、この時ばかりは感情の制御が効かず、持っていた週刊誌を机にたたきつけた。

「ああ、見ての通り。バラしたよ、羽柴のこと」

須和は取り乱す父の姿を見て、いつもの様に微笑む。

「お前は何を考えてるんだ!? あいつらはウチのあらゆる情報も持ってるんだぞ!?
いつ情報が回るか分からないじゃないか!!」

義則の弱みを羽柴が握っているらしいのだが、須和には全く関係ない。

須和が社長に就任してからは、そういった不正は一切働いていない。身の潔白がある。

「あんたが困ろうと僕が知ったこっちゃない。自分のケツは自分で拭うんだな」

「そんなこと言ったって、会社を経営しているのはお前だぞ。俺だけの問題じゃないだろう、この会社がどうなってもいいのか!?」

義則の必死の訴えに、須和はせせら笑った。


「ああ、正直この際、どうなってもいいよ。僕は初めからあんたの会社に何も思うことなんてなかったからな」

「……!」

義則は血の気が引いた顔で、その場に項垂れた。

「なんで、そこまでするんだ……お前だって羽柴のおかげで十分いい思いをしてきたじゃないか!!」


(いい思い……か)

実家の会社を軌道に乗せてくれたこと?
いい話を持って来てくれたこと?
いい女を紹介してくれたこと......?

経営者として終わってるのかもしれないが、正直その全てがどうでもいいことであった。

ただ自分の居場所をそこに用意されたから、存在していただけで……。


「僕と葵の邪魔をしようとしたバツだよ」
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