独占欲に目覚めた御曹司は年下彼女に溢れる執愛を注ぎ込む
「無理やり父親に連れていかれたパーティの帰り……偶然家の近くで、
おじさんと由紀子さんに会ったんだ。父親も昔の友人と会えたことで嬉しがってね。
僕はおじさんの嘘のない素直な物言いに、ビックリしたよ。
お前は顔色が悪いぞ!子供みたいな顔をしてないって初対面で」

「はぁ……お父さん何を言ってるんだろう」

失礼な物言いは筋金入りだったようだ。
落胆している葵に、須和は小さく首横に振った。

「それでちゃんと遊べてるのか?って言ってくれてね。
いつでも遊びに来いよって言ってくれたんだ。
由紀子さんもニコニコしていて、直感的にこの人たちは優しい人なんだなって思ったよ」

須和の笑顔に、葵は何も言えなくなった。
そんな些細な一言も、言ってくれる人が身近にいなかったのだろう。

「そんなある日、僕は急にすべてが嫌になって家から飛びだした。
死のうなんてことは考えなかったけど、どこかに逃げたくなって……」

「え……」

「天馬堂に逃げ込んだんだ」
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