独占欲に目覚めた御曹司は年下彼女に溢れる執愛を注ぎ込む
「……あ、そういえば。おじさんは律義に僕と父それぞれに年賀状を送ってくれてね。
可愛いらしい女の子の写真が載ったものがいくつかあって、子供も生まれたんだなって嬉しかったんだ」

「そ、それは……私のことですよね」

「そう。葵ちゃんに初めて会った時、本当に感動したよ。
二人の念願のお嬢さんに……ずっと会ってみたかった」

「……っ」

意味合いは違えど、会ってみたかったと言われて葵の頬は火照り始める。

「......ざっくり言うと、こんな感じなんだ。
僕にとって天馬堂は心の拠り所で……おじさんも由紀子さんも、もちろん葵ちゃんも。
僕にとって大切な人だよ」

「須和さん......」

須和の優しい眼差しに、葵の心はじわじわと温められていく。
嘘偽りのない澄んだ瞳が、葵を映した。

「由紀子さんと葵ちゃんと三人で鉢合わせたことがあったでしょ?
きっと……彼女はわざと君と僕の面会時間が被るように、指定してきた」

「えっ!?」

「君の気持ちが分かるのは、僕だと思ったから最後に引き合わせたかったんだろうね」

「お母さんが……」
< 44 / 209 >

この作品をシェア

pagetop