傷つき屋
僕のお父さんは世界一かっこいい。世界だって変えられる。
そう信じていたのに、お父さんは僕が小学5年生の時に死にました。
ジュンショクって言うんだと、中学校の時に買ってもらった電子辞書で知りました。
お母さんはいつも、お父さんはすごいのよ、と言いました。
言いながら、泣いていました。
僕の背はぐんぐん伸びて、背の順でも後ろの方になりました。
もう二重飛びだって20回連続でできるくらいになりました。
お父さんはすごいの?
僕は不思議でした。
朝のテレビからは、いじめで自殺した中学生のニュースが流れています。
コップの牛乳をごくりと飲んで、チーズトーストにかじりつきました。
お父さんはすごいの?本当に?
だってまだ、世界は平和になっていないのに。