傷つき屋
「好みならラインでも聞けよ」
「ラインなら聞いたよ」
「お、手が早えな」
俺の呟きを追い越すスピードでシャーペンが紙の上を走る。
罫線の隙間の空白にでたらめな公式がなんとなく埋まっていく。
「アキオ、岬に好きな男のタイプ聞いて来てくれよ」
「できるかっ」
二人でけたけたと肩を揺らして笑う。
俺は女子の前になるといつも、やけに緊張してしまい、なぜか目をこすったり首を回してしまう。
マコトはそんな俺の物まねをしてからかってくる。