傷つき屋
「俺な、すごい特技があるんだよ」
数か月前に聞いたマコトの言葉も、耳に蘇った途端に粒子になって、また川に吸い込まれる。
マコトは目を閉じたまま、はあ、と息を空に向けて吐いた。
一過性のものなんだよ、と言っていた。
人の胸の中に永遠にくすぶるつらい思いも、俺の力で一過性の苦しみに変えられるんだよ、と得意げに言っていた。
そんなの嘘だ。蓄積されているよ、お前の中に。
だってお前の目は明らかに以前より光の量が減ってきている。