傷つき屋
何も言えず立ち尽くす俺を前に、マコトは膝に両手を添えて、ゆらゆらと立ち上がる。
じゃら、じゃら、と靴が砂利を掻く音と共に、体を引きずるように歩いて、俺の肩に手のひらを置く。
「やめろよ、アキオ」
ふっと笑っている。俺は泣いていた。
「お前がそんな顔をするたび、俺はもっともっと苦しくなるよ」
肩から手が離れて、マコトは土手のふもとに置いていたカバンを拾い上げた。
俺の傷まで請け負って、ゆっくりと時間をかけながら、コンクリートの堤防をのぼっていく。
その背中から目が離せない。
ごめん、ごめんな、マコト。
胸の痛みは引いていた。
すっきりとしている頭が憎くて、憎くて、憎くて俺は自分の頭を殴りつける。
本当に心から、お前の苦しみを分かち合いたいと思っている。心から。
それなのにマコト、本当にごめんな、いつもこうなってしまうんだ。こんな俺を許してくれ。