傷つき屋
「じゃあ、ぼくも警察官になる」
扉の隙間からも細い光が漏れていて。
真っ暗じゃ眠れないからいつも、豆電球がオレンジ色に灯るのを見つめていました。
「どうかなあ、マコトはなあ。縄跳びできなきゃなれないぞ?」
「お父さんだって縄跳びできないじゃん」
「できるさ。昔はもっとできたんだ」
嘘じゃないぞ、とお父さんは言いました。
右ひじをついて頭を支えたまま、僕の髪を撫でました。
「大人は嘘をつかないんだ」
そう言って笑います。