エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
「郡司先生、もしよろしければ相席してもよろしいでしょうか。待ち合わせをしている友人が少しだけ時間に遅れてくるそうなので。その間ご一緒させていただきたいのですが……」
「ああ、構わない。千菜もそれでいいか?」
「えっ、ああ、うん。いいよ」
まさかここで嫌だとは言えない。それに、別に嫌でもないし、麻宮さんがいようがいまいが私はどちらでもいい。
「ありがとうございます。失礼します」
麻宮さんが貴利くんの隣に腰を下ろした。
「何か頼むか?」
貴利くんがメニュー表を麻宮さんに手渡す。それを受け取った麻宮さんは、近くを通った店員さんにコーヒーを注文した。
「それにしても郡司先生の婚約者がこんなにお若い方だとは思いませんでした。沢木さんはおいくつなのかしら。十代後半にも見えるけれど……」
うっ……。
麻宮さんの言葉にケーキを食べる手が思わず止まってしまった。童顔なのは自覚しているけど、改めて言われると切ない。
軽くショックを受けていると貴利くんが私の本当の年齢を麻宮さんに伝える。
「千菜は二十六だ」
「あら、そうなんですか。可愛らしい方なのでお若く見えるんですね」
「ああ、千菜は誰よりも可愛い」
その言葉に、私は思わず飲んでいる紅茶を吹き出しそうになった。