エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
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「はぁ……」
自分の行動があまりにも大人げなくてため息がこぼれてしまう。
遊歩道をとぼとぼと歩いていたら、いつの間にか赤レンガ倉庫の近くまで来てしまった。お手洗いに行くと告げて席を立ったはずなのに……。
あのあと、貴利くんと麻宮さんのいる席に戻りたくなくて店を飛び出した。
やることが小さな子供みたいにわがままだ。そう理解していたけど、気が付くと身体はお店の外に向かっていた。
ふたりの会話に入れない私はジャマ者だと思ったし、取り残されたようでむなしかった。何より、貴利くんと麻宮さんが楽しそうに話をしている姿を見るのが嫌だった。
それでもやっぱり、勝手にいなくなるのはよくないと思い直して、貴利くんのスマートフォンにメールは入れた。
用事を思い出したから先に帰ると伝えたけれど読んでくれただろうか。もしかしたらふたりは話に夢中で、私がお手洗いから戻らないことに気付いていないのかもしれない。
「はぁ……」
赤レンガパークのベンチに座りながら、ため息がこぼれてしまう。
私はいったい何をやっているんだろう。