エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
もしかして貴利くんは駅に向かって走っているのかもしれない。電話越しにそんな息遣いが聞こえてくるので焦ってしまう。
私は電車にも乗っていないし駅にもいない。まったくの反対方向にいるのに。
「貴利くんごめんなさい」
とっさに謝罪の言葉を口にしていた。
「嘘なの。用事があって先に帰るって言ったのは嘘ですごめんなさい。今は赤レンガにいる」
『赤レンガ?』
そう呟いて、貴利くんはしばらく黙ってしまった。けれど少しして口を開く。
『事情はあとで聞く。とりあえず俺もそっちに行くから』
そこでプツンと通話は切れた。
これから貴利くんがここへ来る。先に帰ると言った嘘についてどう誤魔化して説明しよう。いや、ここはもう嘘はつかずに正直に話そう。
私だけ蚊帳の外に置かれて、楽しそうに話す貴利くんと麻宮さんを見ているのが辛かったって。
でも、他人の気持ちに鈍感な貴利くんの性格を考えるときっと私の気持ちなんて理解してもらえないんだろうな。それどころか、もしかしたら怒られるかもしれない。
本当に子供染みたことをしてしまったと反省していると、後ろからトントンと肩を叩かれた。
私は電車にも乗っていないし駅にもいない。まったくの反対方向にいるのに。
「貴利くんごめんなさい」
とっさに謝罪の言葉を口にしていた。
「嘘なの。用事があって先に帰るって言ったのは嘘ですごめんなさい。今は赤レンガにいる」
『赤レンガ?』
そう呟いて、貴利くんはしばらく黙ってしまった。けれど少しして口を開く。
『事情はあとで聞く。とりあえず俺もそっちに行くから』
そこでプツンと通話は切れた。
これから貴利くんがここへ来る。先に帰ると言った嘘についてどう誤魔化して説明しよう。いや、ここはもう嘘はつかずに正直に話そう。
私だけ蚊帳の外に置かれて、楽しそうに話す貴利くんと麻宮さんを見ているのが辛かったって。
でも、他人の気持ちに鈍感な貴利くんの性格を考えるときっと私の気持ちなんて理解してもらえないんだろうな。それどころか、もしかしたら怒られるかもしれない。
本当に子供染みたことをしてしまったと反省していると、後ろからトントンと肩を叩かれた。