エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
 貴利くんとの関係をどう説明したらいいのか迷ってしまう。すると、不意にかけるの腕が私の肩に回り引き寄せられた。


「千菜。これから俺と遊ばない? お互い今は一人だし暇だろ」

「え!?  私は別に暇じゃないよ。これから――」

「いいじゃん。お前まだ俺のこと好きなんだろ」

「えっ……」


 驚く私に、かけるがにやりと笑った。


「別れようって言ったら素直に頷いていたけど、泣きそうなのを必死にこらえてたのバレバレだったから。見ていて面白かった。そういえば千菜、俺に嫌われないようにいつも俺の顔色伺ってたもんな。俺の言ったことなんでもすぐに従うから、今までの彼女の中で一番付き合いやすかった」


 その言葉を聞いて、頭の中が真っ白になった。

 かけるはそんな風に思いながら私と付き合っていたんだ。

 私は、かけると別れてからも彼のことが好きだった。母が心配するくらい落ち込んで、誕生日にかけるが買ってくれた指輪を握りしめながら何日も泣いていた。正直、今もまだかけるへの気持ちは残っている。

 今日だって、約束に遅刻してくる貴利くんと、遅刻を一度もしなかったかけるを比べてしまうほど、私の中には今もかけるの存在が大きい。

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