エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
 四年前、北陸の病院へ異動になったと知ったときは、これでしばらくは顔を合わせずにすむのだと大喜びしたはずなのに。まさかこんなに早くこっちへ戻ってくるとは。


『貴利くんは、今は大学の医局に入って関連病院をいろいろと回っているらしいが、いずれは史貴の跡を継いで郡司総合病院の院長になるはずだ。今も脳神経外科医として将来を有望されるほどの実力らしいぞ。ほら、別れたさとしくんなんかよりもよっぽと立派な男だろ』


 ――だから、さとしくんって誰だよ。もはやかけるの名前の一文字も残ってないって。

 いや、そんなことよりもこのままでは貴利くんと結婚させられてしまう。それは避けたい。なんとしても避けたい。じゃないと私の人生はお先真っ暗だ。

 あんな血も涙もないような冷徹人間となんて一生を添い遂げたくない。絶対にいやだ。

 玉蔵の話によると、大親友の史貴さんと久しぶりに飲んだ席で、お互いの子供の話題になったそうだ。

 玉蔵は、娘の私が彼氏に振られたショックから一生独身でいることを誓い、それに妻がそうとう落ち込んでいるから何とかしてあげたいと史貴さんにぼやいたらしい。

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