エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
 言いながら気が付いた。どうして貴利くんと麻宮さんが楽しそうに話している姿を見るのが嫌だったのか。

 そんな自分の気持ちに気が付いた私は、貴利くんの目を見つめながら一気に告げる。


「麻宮さんに嫉妬したの! 今日は私とデートなのに、貴利くんが私のことなんて無視するみたいに、麻宮さんと仲良く話していたから」


 カフェから姿を消せば、貴利くんが心配して私を追いかけてきてくれると思った。そんな風に考えて、実際に行動に移すなんて本当に大人げなかったと改めて呆れてしまうし、反省している。


「ふたりを見ているのが嫌でカフェを出たの。それでぷらぷら歩いてたら赤レンガまで来ちゃって、元彼と会って、キスされて……うわぁ~思い出しちゃったよ」


 私は自分の唇を手の甲でごしごしと拭った。それでもかけるの唇の感触が離れない。彼を好きでたまらない頃の自分なら嬉しいけど、今はただ気持ち悪い。早く忘れたい。

 ごしごしと手の甲で唇をこすり続けていると、「千菜」と貴利くんが私の名前を呼んだ。

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